個人経営の薬局がM&Aをする場合のメリット・デメリットとは?

はじめに

近年個人薬局がM&Aを受けるケースが増えてきています。 どのような場合M&Aを受けるとメリットがあるのでしょうか? また、どういったデメリットが存在しているのでしょうか?

調剤薬局のM&Aが多く行われるようになった背景

1990年代の医療分業により、調剤薬局は非常に多くなりました。現在ではコンビニエンスストアの総数を上回る薬局があり、その多さから新規事業開拓が難しいため現在開業している店舗でも売り上げをアップさせることが困難になってきています。

また、以前は個人経営の薬局も多くありましたが、近年では大手チェーン薬局が都市部を中心に拡大し人材が流れていく傾向にあり、地方の薬局は人材確保が難しくなりつつあります。
そういった地方の薬局はあとを継ぐ人材の確保も難しい傾向にあります。

こうした問題が山積する中で、薬局を維持し続けるためにM&Aという手段が注目されています。

調剤薬局における近年のM&Aの動向

2011年ごろM&Aを実施した薬局は48店舗程度でしたが、2016年ごろには720店舗にまで増加しました。
もともと小規模店舗が乱立している業界構造で、大手のトップ企業上位10社を合わせても占有率が15%程度。M&Aなど統合が比較的おきやすい状態といえます。
薬価の改定や医療費削減のための政府の取り組みなど、業界を取り巻くさまざまな状況が変化をしているため程度の差こそあれ今後もM&A活発に行われることとなると思います。

実際にM&Aを受ける場合のメリットとは

まず、後継者がおらず廃業の危機に瀕していた薬局の場合M&Aの契約をした会社が新オーナーとなるので後継者の心配が必要なくなります。
いざ後継者を探そうとしても、株式などを買い取ってもらう必要が生じたりするので自力で後継者を探すのは大変です。そういった心配をする必要がなくなります。

そのほかのメリットとして、廃業するときに必要になる経費を削減できるというものがあります。
新設するならともかく、たたむときにそこまで費用がかかるのかという疑問があるかもしれません。

薬局を閉める場合、賃貸や電話・インターネットなど施設のために契約していたものを解約する必要があります。このとき解約金が必要だったり、解約するまで時間がかかる場合があります。 また、清算する時(会社が行っている業務全てを停止し会社の法人格を消滅させる手続き)さまざまな税金がかかります。

例えば

  • 今まで使っていた機材などを売ったお金にかかる法人税(約36%)
  • 個人の残余財産にかかる配当税(最大50~55%)
  • 株式譲渡損益に関わる課税(約20%)
上記のような税金により、資金を売却したもののかえってマイナスになってしまったというケースもあります。 M&Aによりこのような損失を防ぐことが出来ます。

さらに大手の傘下に入ることによって、金融機関での信用が高まり融資を受けやすくなります。
買い手からも融資を受けることが出来るので、資金調達が容易になり新しい試みを始めやすくなるケースもあります。
資金だけでなく、買い手側のコネクションなども生かすことが出来るので今まで自力では開拓できなかった分野にも事業を拡大させるチャンスがあります。

M&Aをした際に生じるデメリットは?

M&Aの契約先をどのように探すかにも寄りますが、良い契約会社が見つからない場合や話し合いが頓挫することもあります。
知り合い通しのM&Aの場合は、知り合いだからこそ本音で希望をいえないというようなこともあるのでしかるべき仲介業者など第三者のアドバイスの元行うのが良いでしょう。

そのほかのデメリットとしては経営方針が変わってしまうというものがあります。
M&Aの種類や契約内容によってどこまで新しい会社の方針を受けることになるかは変わってきます。比較的今までどおりのやり方でよい場合もありますが基本的にはさまざまな方針が変化します。 この場合、従業員にも直接関係のあることなので、給与面など交渉は慎重に行う必要があります。
日常的な業務のルールに関してもさまざまな変更が予想されるので、従業員への説明や移行のタイミングなど考慮することが大切です。

対外的なデメリットとしては、地域の結びつきを重視している風土のある土地の場合提携病院の医師の理解が得にくいというケースもあるようです。 M&Aを考えている場合、事前にM&Aを考えている、そうした事情があるということを話し合っておくのが良いかもしれません。
*実際に契約の話し合いが進むときは守秘義務が発生するため、契約相手を探す前などに計画があるということを話すのが良い場合があります

まとめ

メリットもデメリットもありますが、契約を慎重に行えば廃業に伴う費用や労力の節約が行え、場合によっては今まで出来なかったことにチャレンジできる資金を手に入れることにもつながります。

M&Aにあまり良い印象をもたれることは少ないかもしれませんが、きちんとした計画と話し合いの元に行われたM&Aは売り手・買い手共にメリットのあるものとなります。
後継者や従業員の確保など、難しい問題を抱えている場合は検討してみるのも良いかもしれません。

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